SOLIDYARDブログ

3Dプリンタやお手軽な無料3D-CAD関連のブログです。

2013年12月

こん〇〇は。

熱溶融樹脂積層式3Dプリンタは主にABS樹脂とPLA樹脂が使用出来ますが、ABS樹脂は
樹脂の特性上、熱収縮しやすいので、ヒーターベッドのついたプリンタでないと大きなものを
出力すると淵から反り返り剥離することがあります。

もっとも、プリンタにヒーターがあっても室温が低いと収縮し易くなるので、ベッドにヒーターが
あってもできれば、プリンタの側面をダンボールやベニヤ板あるいかアクリル板なので囲って
周囲の熱が急激にさがらないようすることをお勧めします。

さて、話は変わりますが、今日はあるお客様に比較検討用に樹脂の違いによる成形物の違い
があるのか聞かれましたので、実験してみました。

使用した材料はABS無着色品、ABS着色品(ホワイト)、PLA樹脂です。

データーはThingiverseのrubber duck ラバー・ダックといういわゆるアヒルのフィギュアです。

アヒルにはオーバーハングやら、曲面などがあるので指定されたものです。

早速、3Dプリンタでそれぞれ出力してみました。

条件は
1)エキストルーダー温度:220℃ 
2)Z軸解像度:0.1mm(100µ)で出力
3)ベッド温度:90℃
です。

出力した結果は下記の通りです。
IMG_1903

上図の写真のように色も違いますが、よく見ると樹脂により表現が違いますね。

まず、最初にABS樹脂無着色の樹脂です。
abs01

縞模様はあるのですが、ノッペリした感じです。
この樹脂はフィラメントの時は光沢があったのですが、造形したものは光沢がありません。

 2)ABS樹脂ホワイト
abs02
 先ほどの無着色樹脂よりコントラストが高いというか、線が少し目立たない
感じですね。光沢があるので、線が目立つように頭頂部分が見えますが、
全体としてはあまり目立ちません。

3)PLAホワイト
pla01
この形状の再現性だけとれば、PLAの方が明らかにABSを上回っているよう
に思えます。
ただ、これは温度も深く関係してきます。私の場合、PLA樹脂の温度が適切な
温度よりやや高かったようです。

ただ、ご覧頂いてわかるのですが、光沢があると積層の断面が目立って、
一見解像度が低いように写真では見えてしまいますね。

たた、ABSはヤスリ掛けやカッターなどで後加工が割と簡単なんですが、
PLAは硬化後は固いので後加工に少し手間がかります。
とは言っても、製作する人にとっては感じ方も人それぞれじゃないかと思います。
実際はPLAでも紙やすりで加工もできます。ただ、カッターでは厚さによっては切れにくい場合もあります。

最近はPLA樹脂もいろいろな種類(SoftPLA、弾性PLA、ProPLA)などPLA樹脂にもグレードとか
種類が増えて来ましたね。いずれ紹介したいと思います。




 

私の愛車は初代のホンダのフィットです。発売当時はとても人気があって、
納車に1-2か月は普通に待たさせれることが多かったようですが、自分は
偶然、注文キャンセルされた車に当たったのか、すぐに納車して頂けました。
この車は今まで乗った車の中では妻もお気に入りのせいか、一番長いこと
乗ってます。

気に入っているので走れなくなるまで乗ってやろうと思っていたところに、
娘がアームレストの蝶番部分に乗ってしまい、根本から壊してしましました。
蝶番だけでなく、ロック部分もポッキリです。

ディーラーに持っていけば、修理はできるけど、お金もかかりそうだし、
プラスチックだし・・・。

プラスチック?

ならば、3Dプリンタで修復できないかと勝手に修理をしようと思い立ちました。
材質はABSを選択しました。ABSなら割れにくいし、粘るのでいいんじゃない
かと。強度的にはどうなんでしょうね?

ます、壊れた部品を取り外して、ノギスで正確に寸法を測ります。
このような部品は見た目が悪くても、外形寸法さえ合えば、実用上は問題ない
はずです。

しいて言えば、蝶番はディーラーに発注しても納期もかかりそうなので、、近所
のDIYショップでそれなりの大きさのものを購入しました。

しかし当たり前ですが、穴が全然合いません。そこで、蝶番とアームレストの
隙間を埋めるベース板も設計しました。もっとも設計というほどではありません
が、このような時に早く欲しい部品を作るには操作が簡単なTinker-cadの出番
です。

Tnker-cadは個人で営利目的で使用しない限り、無償で使用出来ます。

まずはログインして、四角の板の蝶番を付けるベースを作成します。

このソフトは操作が簡単な上にブラウザ内で動作しますので、インストールする
必要もありません。

Tinker-CADは一時期はオーナーが閉鎖宣言をしてしまい、廃止になりそうで、
かなりのユーザーから残念がられたのですが、現在はAutodesk社の傘下にな
り、サービスが継続されるようになりました。

このシステムの優れたところは習得が簡単で、ユーザーが作成したデータも
パソコンでなく、Tinker-cad側で保存してくれることです。

それゆえ、PCがあればどこでも呼び出して続きのデータを作成できるのも嬉
しいですね。

さて、ログインしたら、右の部品トレイから赤色の立方体を選んで、ワークス
スペースに置きます。この立体に先ほど現物から測ったサイズを入力し、板状
にします。

穴は、円柱図形を使います。穴をあける位置で円柱のサイズ(穴の直径)を
セットします。その後、画面にある、InspectorでHoleを円柱に適用します。
すると円柱が透明になり、穴が空きます。

tinkercad_base
上の2つはアームレストのフタ側につけるシム替わりのパーツで厚みを
変えて2種類作成しました。

下の幅の大きなものはアームレストのフタの蝶番を直接止めるベース板です。
3Dプリンタで出力に消費したフィラメンントは約1.01m 8gでした。
あまり精度も必要としないので、0.3mmピッチで出力しました。

car_02
で、出来上がったものが上の写真です。

tinkercad_lock_pin
こちらははアームレストのフタの裏側に付ける、ロックです。
真中にはスリットを溝をあけて、すこしだけしなるようにしてます。
消費したフィラメンントは0.34m 3gでした。

こちらも、0.3mmピッチで出力しました。
で出来上がったの部品が下のものです。
car_01

実際に使用してみました。
car_03
アームレストを閉めると、カチッと四角い穴にはまり、どうやら問題なく使用
出来るようです。強度も十分ありそうです。

car_04
上の写真は閉めたところです。実用上、見た目も悪くなく問題なく使用できます。

では実際にこの部品はいくらかかったのでしょうか?

使用したフィラメントですが、1g=8円位です。、
 
1)ベース板 3gx8=24円
2)ロック   8gx8=64円
            =88円です。

出力に使用した3Dプリンタの使用時間が1時間10分=70分、つまり
1.16時間です。

使用した3Dプリンタに消費電力は120W/hですので
実際に消費した電力は120Wh x 1.16= 約140Wです。

1時間の電力料金単価(平均22円/Kwh)で計算すると
0,14(Kwh)x22円=3.08円
つまり材料費88円+3.08円ですから、合計しても100円しない計算に
なります。
 
ただ、この中には部品の一番重要な設計費は含まれてませんが…(^^;

フィラメントは使用する量をプリンタ制御ソフトウェアが出力する前に
自動的に計算してくれるます。

材料があらかじめどれくらい必要なのかが、分かるのがいいですね。

こんな風に、今までは自作できなかったプラスチック部品が出来るのも
3Dプリンタの大きな魅力です。奥さんにも感謝されちゃったりします。






米国の南カルフォルニア大学の産業システム工学のベロフ・コシネビス教授(Dr.Behrokh Khoshnevis)が開発・提唱しているコウター・クラフティング(直訳すると等高線を巧みに作る技術)つまりコンクリートで層をなした構造物の製作技術です。

この技術は今後の建築物の構造/構成要素また建設そのものを自動化する大きな潜在能力があるようです。
仕組みは簡単で、XYZ軸に自由に動ける押し出し機が特殊コンクリートをニュルニュルと押し出して建設する仕組みのようです。でも素材によってはシェルターとか、丈夫な構造物も出来るようですし、今まで熟練工にしかできなかった自由曲面なんかも実現できるので、建築デザイナーにとっても新しい表現の可能性がありますね。
ドームのような建物も足場を組んだりすることが不要なのだとか。

また、この技術は将来の宇宙基地の建設などにも応用できるそうで、NASAなどの宇宙開発機関からも注目されているようです。

この技術の凄いところは、きわめて短い時間で住宅が建設できることだそうです。
ベロフ教授によれば、一般的な個人の住宅なら20時間を実現できそうだとのことです。また破壊強度も一般のコンクリート壁の3倍位に高める事ができるそうです。興味がある方は是非上のビデオをご覧ください。


例えば、地震や台風などで自然災害で被災した方の仮設住宅や、救難センターなどを早期に建設したりすることも出来るので大いに注目されているようです。今までの住宅の建設には配管、電気配線など複雑になりがちだったものもコンパクトにできるのも特長だそうです。一方、この技術が急激に普及すると、建設業で職場を失う人が急増するのではと懸念もあるみたいです。


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